利用者ブログ「3月おすすめの本紹介─コンビニ人間─」近江デジタルキャリア草津駅前オフィス 就労継続支援ブログ
コンビニ人間
村田沙耶香の『コンビニ人間』は、2016年に第155回芥川賞を受賞した作品です。受賞当時、著者自身がコンビニで働いていたというエピソードも話題となり、累計180万部を超えるベストセラーになりました。現在は40カ国以上で翻訳されており、米『ニューヨーカー』誌のベストブックにも選ばれるなど、世界規模で読まれ続けています。
あらすじ
主人公は古倉恵子、36歳。大学入学と同時に始めたコンビニのアルバイトを、そのまま18年続けている女性です。恋愛経験なし、正社員経験なし、結婚の予定もなし。
彼女は子供の頃から、少し「ズレて」いました。たとえば、公園で小鳥の死骸を見つけたとき、泣いている友達に「焼いて食べようよ」と提案します。喧嘩している男の子たちを止めるよう頼まれたとき、近くにあったスコップで、その男の子に殴りかかります。そうすれば喧嘩が止まるだろうと考えたのです。
悪意があるわけではありません。ただ、彼女の中では論理的に正しい判断なのです。でも当然、周囲は引いていきます。
そうして何度も「ズレ」を経験するうちに、恵子は学習していきます。「自分の判断は間違っている。だから、正解を外から借りてこなければならない」と。
そんな恵子が唯一「普通」に振る舞える場所がコンビニでした。マニュアルがある。役割が決まっている。「いらっしゃいませ」という言葉は、それ以上でも以下でもない。そこだけは、何も考えなくてよかったのです。コンビニという空間でだけ、彼女は「ちゃんとした人間」になれました。
物語の後半、白羽という男が新入りとしてやってきます。彼もまた社会不適合者なのですが、恵子とは正反対のタイプです。恵子には欲望がありません。一方の白羽は欲望だらけで、しかもそれを棚に上げて「社会が悪い」と叫び続けます。この二人の奇妙な共生関係が、物語をぐっと面白くしています。
この小説を読んでいて、何度か手が止まりました。
恵子の周りの人たちは、みんな彼女を「治そう」とします。妹は心配し、友人たちは飲み会のたびにアドバイスをくれます。 「そろそろ正社員になったら?」「結婚は考えてないの?」 「コンビニはあくまでつなぎでしょ?」――誰も悪意があるわけではありません。むしろ全員、親切心から言っています。でも、その親切がじわじわ息苦しい。
読んでいるこちらも、だんだん息が詰まってきます。
恵子は別に不幸なわけではありません。コンビニの仕事を心から楽しんでいるし、「普通の人間」を演じることにも慣れています。彼女なりの均衡の中で、ちゃんと生きています。なのに、なぜ周囲はこんなにも彼女を変えたがるのでしょう。
結婚していて、正社員で、子どもがいる。そのレールに乗っていない人間は、いつまでも「未完成」とみなされます。この国では特に、そういう空気が濃いように感じます。「幸せかどうか」よりも「正しいかどうか」の方が、なぜか重要視されてしまう。
作中で白羽はこう言います。「現代社会だ、個人主義だといいながら、ムラに所属しようとしない人間は干渉され、無理強いされ、最終的にムラから追放される」。白羽自身はかなり極端なキャラなので、この言葉をそのまま信じるわけにはいきません。でも、的を射ている部分もあると感じました。
コンビニは一見、無機質な場所です。全国どこでも同じ店構え、同じ商品、同じ接客。個性がなく、代替可能で、消費されていく場所。普通に生きている人にとっては、ただ立ち寄るだけの場所です。しかし恵子にとっては違います。「コンビニという生き物の一部」として機能できる、唯一の居場所なのです。
社会は、「自分らしさ」を求めます。でも、自分らしさが「普通」と大きく外れていたとき、人はどこへ行けばいいのでしょうか。
恵子が見つけた答えが、コンビニでした。マニュアルという「正解」があるから、自分の判断が間違っているかどうか悩まなくていい。役割があるから、何者かでいられる。均質で無個性なコンビニが、恵子にとっては最も「自分でいられる場所」なのです。
「そのとき、私は、初めて、世界の部品になることができたのだった。(略)世界の正常な部品としての私が、この日、確かに誕生したのだった」という描写は、読んでいて胸に強く残りました。
物語のラストで、恵子はある決断をします。それをハッピーエンドと感じるかどうかは、解釈が分かれるところでしょう。その分かれ目が、そのまま自分の「普通」観を映しているように思えます。
ちなみに私はハッピーエンドだと感じました。
【今回のブログ記事はODC利用者さんがライティングして下さいました】
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