利用者ブログ「4月おすすめの本紹介—バカの壁—」近江デジタルキャリア草津駅前オフィス 就労継続支援ブログ2026.04.10

読書ブログ バカの壁

「おすすめの本紹介──バカの壁──」

このブログで本を紹介するとき、これまではずっと小説を選んできました。今回は少し趣向を変えて、新書を一冊紹介してみようと思います。

今回紹介する本は、『バカの壁』(養老孟司・著、新潮新書)です。
タイトルを見て、少し驚いた方もいるかもしれません。
「バカ」という言葉がついているので、何か刺激的な内容の本なのかと思いきや、そういうわけではありません。

著者の養老孟司さんは、東京大学医学部を卒業後、解剖学の研究者として長くその道を歩んでこられた方です。
医学部を卒業後、研修医時代に自分は患者と接する医者には向いていないと悟り、解剖学の道に進みました。
生きた人間ではなく、亡くなった人間の身体と向き合うことを選んだ。
その経歴がこの本の独特な視点にもつながっているように思います。

刊行は2003年。450万部以上を売り上げたベストセラーで、題名の「バカの壁」は、その年の流行語大賞にも選ばれました。
20年以上前の本ですが、色あせない。
それどころかむしろ今のほうが刺さるかもしれません。
情報漬けの現代人の多くが、なんとなく感じていることを、著者は20年以上前にすでに指摘していました。

では、「バカの壁」とは何か。
著者の説明を借りると、人は自分が知りたくないことに対して、無意識のうちに情報を遮断してしまう。その遮断を生み出している障壁のことを、著者は「バカの壁」と呼んでいます。

ポイントは、「バカ」というのは頭の良し悪しの話ではない、という点です

どれだけ知識があっても、どれだけ経験を積んでいても、自分の見たいものしか見ない、聞きたいことしか聞かない——そういう状態に、人は陥りやすい。「話せばわかる」と思ってコミュニケーションを取り続けても分かり合えないことがあるのは、お互いの間にこの壁があるからかもしれません。

厄介なのは、壁の中にいる人間には、壁の存在自体が見えないことです。
「自分はちゃんと分かっている」という思い込みこそが、最も手ごわい壁になる。
そう著者は言います。
本の中で、印象に残っている箇所があります。
著者が学生たちに、出産のドキュメンタリー番組を見せたときのことです。女子学生の多くは「新しい発見がたくさんありました」と感想を述べた。
一方、男子学生は皆一様に「こんなことは保健の授業でもう知っていることばかりだ」と言った。同じ映像を見ているのに、まったく正反対の反応でした。
なぜこうなるのか。男子学生は、出産というものについて実感を持ちたくない。だから同じ映像を見ても、女子学生のように発見しようとしない。むしろ積極的に発見を避けようとしている。著者はそう分析しています。

これは「人によって得られる情報が違う」という話ではありません。
それ以前に、そもそも「情報を得ようとする姿勢」が違うということです。自分が知りたくないことに対しては、無意識のうちに情報を遮断してしまう——このエピソードは、「バカの壁」の典型例です。

著者はさらに、現代人が「身体」を忘れてきたことも指摘しています。
人は知識を頭に入れ、身体を使って実際に行動することで初めて学んでいく。つまり「学習」は、必ず入力と出力がセットであるということです。ところが現代では、情報をインプットしただけで「わかった」と感じてしまう人が増えている。
頭だけで理解した気になって、身体で感じることをないがしろにしている。男子学生のエピソードも、突き詰めればそういうことです。
出産という、身体に深く根差した営みを、知識の問題として処理しようとした。だから、「もう知っている」で終わってしまった。

この「壁」の問題を、著者はさらに大きな視点からも論じています。
それが「一元論」への批判です。
一元論とは、世界をひとつの原理や価値観だけで説明しようとする考え方のことです。
著者はその具体例として宗教を挙げています。
イスラム教、ユダヤ教、キリスト教はいずれも唯一絶対の神を信仰する一神教であり、構造として一元論的です。原理主義はその最たるもので、自分たちの信じる原理だけが正しく、それ以外を認めない。
これは宗教に限った話ではありません。

「絶対的な真実」がどこかにあると信じ、それだけにすがろうとする態度は、日常のあらゆる場面に潜んでいます。
一元論の怖さは、それが非常に明快で心地よい世界観を与えてくれる点にあります。
複雑な現実を単純な原理で説明できるのは楽です。
しかしその心地よさこそが、壁をより強固にしていく。著者はそう指摘しています。

日常の中で「なぜこの人は分かってくれないのだろう」と感じる場面は、誰にでもあると思います。でもそれは、相手がおかしいのではなく、自分自身にも「見ようとしていないもの」があるのかもしれない。この本はそういうことを、静かに気づかせてくれます。

タイトルのインパクトに少し身構えてしまうかもしれませんが、読んでみると意外と穏やかに、でも確実に、自分の見え方が変わるような一冊です。興味を持った方は、ぜひ手に取ってみてください。

【今回のブログ記事はODC利用者さんがライティングして下さいました】

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